こうして僕の入院生活がはじまった-双極性障害ボクの病状備忘録-
ベットに横になってから3時間くらい経ったころに妻が部屋に戻ってきました。
まだ帰ったわけではなく、入院に必要なものを買い出しに行ってただけでした。
買い物袋の中身は部屋着、下着、スリッパ、洗面道具などでした。
部屋着のズボンの紐はやはり取り除かれていました。(そんなもので死ねるはずもないのに…..)
しかし、せっかく奥さんが買ってきた荷物たちは、スリッパ以外、部屋の中に入れることができません。
全て部屋の外にあるロッカーに入れなければならないからです。
それから小一時間くらい奥さんと話しをしました。
細かい内容は正直憶えてません。
とにかく『あわてないで』『大丈夫だから』とだけ言われ続けたことだけは憶えています。
話してる間にも奥さんの存在がドンドン、ドンドンと遠くに感じていきました。
いえ、奥さんだけじゃなく、この世の生きとし生けるもの全ての人が別の世界の住人のように感じたのです。
奥さんが別れ際に『これから2〜3日おきくらいにお見舞いにくるね』と言ってくれました。
マジか。
たった数時間いないだけでめちゃくちゃ不安だったのに…..。
奥さんはそう言い残すと部屋からでて行きました。
ポツン。
ホントに僕は一人ぼっちになってしまいました。
暗黒面に引き寄せられそうになって
それからベットに横になり、目をつむろうとしましたが、僕にはそれすら許されませんでした。
何故なら隔離病棟内の他の人たちがものすごくうるさいからです。
喚き声、泣き声、つぶやき、歌声
恐らく健常者の人でもここに3時間くらいいたら間違いなく気が狂うと思います。
全く眠ることが許されぬまま夕方の6時になり部屋に夕食が運ばれてきました。
完全に病人のご飯です。
お粥?
味も薄すぎて何も分かりません。
でも、とにかく食べなければ元気にならないという思いだけがあったので無理やり食べることができました。
続いて薬を手渡されました。
ん?
何やら様子が変だぞ?
違和感は間違ってませんでした。
薬を手渡ししてくれた看護師さんがかぶりつきで僕の顔をじ〜っと見てるのです。
ま、マジか?
何もそんなに見なくても…。
薬を飲むのには抵抗はないのですが、流石にここまでかぶりつきで見られると返って飲みにくいです。
ただ、飲まないと部屋から出てってくれそうにもないので頑張って飲みました。
薬はやたら量が多く、しかも大粒でした。
食後は寝るしか選択肢はありません。
しかし、寝ようとするとまた泣き声、笑い声、つぶやきがあちらこちらから聞こえてきます。
ヤバイ、このままではホントに暗黒面に落ちてしまう。
アナキンスカイウォーカーの気持ちが解りました。
もはや、正気を保つのが精一杯です。
少しでも気を抜くと暗黒面に取り込まれそうだったからです。
寝むっては、声で起こされ、また、寝むっては泣き声で起こされの繰り返しで僕はついに朝を迎えることになってしまいました。
多分、合計2時間も眠れなかったと思います。
▶︎続く